睡眠障害といっても、その内容は「なかなか寝付けない」ことであったり「夜中に目が覚めてそのまま眠れなくなる」など、症状は人それぞれです。
不眠症や時差ぼけなど、眠りの深さや時間、周期のズレは睡眠そのものの問題で、これらを睡眠異常と言います。その中には睡眠発作(ナルコレプシー)、概日リズム睡眠障害、むずむず脚症候群、睡眠時無呼吸症候群などの症状があります。
ナルコレプシーは、仕事やデートの最中など、絶対に寝てはいけないような大切な場面でも突然眠ってしまう病気です。ナルコレプシーのそのほかの症状として、入眠時幻覚があります。正常な睡眠がとれている人は、眠り始めに夢を見ることはまずありませんが、ナルコレプシーの人は寝入ってすぐに恐い夢を見ることがあります。
また起きているときにあらわれるカタプレキシー(情動脱力発作)もナルコレプシーの症状の1つであり、大笑いしたときに全身の力がぬけて膝がカクンと曲がって転んだり、ひどいときには意識はしっかりしているのに体がぐったりすることもあります。
これらの症状を引き起こす原因は、はっきりしていないのが現状です。昼寝をしたり、不規則な生活を避けることで少し改善されますが、自分で判断するのではなく、ぜひ専門医を受診しましょう。多くの方は治療を受けながら普通に生活を続けていますし、年を重ねるごとに症状が軽くなっている場合もあるようです。
また、どんなに努力しても朝起きられず、毎朝遅刻するような社会生活に支障をきたしている場合もあると思いますが、これは睡眠相遅延症候群と呼ばれています。その多くは10代後半からはっきりとあらわれている傾向が強いようです。治療法はいくつかありますが、そのひとつが毎朝同じ時間に光を浴びる光療法です。
これは太陽の光や専門医の指導の元で、光療法器を使って行います。携帯可能な光療法器もあるので、出張先や旅先に持っていくこともできます。
むずむず脚症候群の内容
むずむず脚症候群とは、布団の中で眠りにつこうとしているときなどに、ふくらはぎの深部に虫がいるような不快なむずむず感が起こって、脚を動かさずにはいられなくなる症状です。
不快感は脚を動かさなければ解消できないような状態なので、その影響によってなかなか眠りに付くことができません。そしてこのむずむず脚の患者さんのうち、約8割の人は眠りかけたときに手足が周期的にぴくんぴくんと動く「周期性四股運動障害」を合わせ持っているそうです。これも睡眠中に脚がぴくんと動いてしまうので、眠れなくなってしまいます。
これらの2つの症状を合わせて、むずむず脚症候群と言います。原因は明らかになっていないのが現状です。発症する年代は50歳以上の中高年の方々に多く見られ、糖尿病性神経障害や鉄欠乏症貧血、腎疾患、パーキンソン病などの疾患と何らかの関連があると考えられています。また、カフェインやアルコール、肥満、喫煙、ストレスが症状を悪化させるとも言われています。
特に腎不全を発症しており、人工透析を受けている患者さんの約7割は、むずむず脚症候群を発症しているそうです。
これを治していくためには、まず腎疾患や糖尿病などの疾患を治療することが大切です。原因と思われる疾患が無い場合は、症状を抑える薬を使った対症療法で改善を図っていきます。今現在よく使われているのは、睡眠導入財でもあるベンゾジアゼピン系薬剤のクロナゼパムや、ドパミン作動薬だそうです。
もし、むずむず脚の症状が特に無く、手足が周期的にピクピクと動く周期性四股運動障害だけ起こる場合は、ドパミン作動薬を、寝る前や症状が起こった際に服用することが多いそうです。ただし、吐き気や食欲不振などの副作用もあるので、服用する場合は医師の指示を受ける必要があります。
ストレス性睡眠障害について
人が睡眠障害に陥る原因の1つに「ストレス」があります。これははっきりとした原因が特定できない不眠症の症状とは違って、不眠となった原因は「ストレス」だとはっきりわかっています。
日常生活のおけるイライラや緊張、環境の変化、不安や葛藤などは、ストレスとなって自律神経を興奮させやすく、不眠の原因にもなります。多くの場合、このストレスを一時的なものであり、時間の経過と共に解消され、それと共に不眠も解消されるものです。
しかし、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のようにストレスの原因になる経験が衝撃的であったり、病気や更年期などで本人のストレスに対抗する力が弱まっていたりすると、慢性的な不眠になることもあります。
何とか解消しようと夜お酒を飲んでみたり、眠れないからといって夜更かしを繰り返してしまえば、生活リズムが崩れて日常生活に支障をきたす恐れもあります。
このようなストレスが起因している睡眠障害の場合は、まずは原因となったストレスが何なのか特定することが大切です。仕事や人間関係、家族、恋愛など、全体的な側面から何が原因になっているかを特定していきます。そしてストレスの原因として思い当たるものがあれば、少しでも負担が軽くなるように、解決策を講じてみましょう。解決が難しいこともあるかもしれませんが、まずは親しい友人にそのストレスについて聞いてもらうことだけでも、効果が期待できます。
また、人生にストレスはつきものです。どんな人生でも、ストレスは必ず伴ってきます。たとえ眠りが浅くて辛くても、起床時刻はしっかり守り、朝の光を浴びて、できるだけ規則正しく日常生活を送るようにしましょう。
さらに自分一人だけで解決しようと無理はせず、不眠症でつらいを感じているのなら、睡眠障害の専門医か、かかりつけの内科医に相談してみるようにしましょう。睡眠導入剤を処方してもらったり、ストレス解消のための知恵を授かることもできます。