人の眠る仕組みは、大きくわけると2つあります。それは、日中の活動で心身ともに疲れたから眠るという仕組みと、夜になると眠くなるという仕組みです。

人は誰でも、長く起きていると眠くなります。私達の脳や体は、本当にすばらしい機能を持っています。日中帯はこの機能をフルに活用して、疲れた分は眠って回復させようという働きがあります。

脳は熟睡中に温度を下げて、疲労を回復させます。また、これと同時に子供の成長に必要な成長ホルモンが作られます。また、体を病気から守っている様々な免疫細胞は、生成するときに眠りを誘発する作用があるんです。

疲れたから眠るというのは、体力を回復させるためでなく、自らを成長させるため、そして体を強くするためと言うこともできます。

また、もう1つの眠る仕組みとして「夜になると眠くなる」というものがあります。たとえ昼間ダラダラと生活していたとしても、夜になるといつの間にか眠くなってしまうことがあります。睡眠不足で朝がつらくても、昼間になると頭が冴えて仕事に全快で取り組めることだってあります。

これは、夜になると眠くなる仕組みが働いていると言えます。この仕組みを作り出しているのが、脳の奥の方にある体内時計です。この体内時計のおかげで、たとえ真っ暗な洞窟の中で生活していても、24時間の間に眠ったり起きたりというサイクルが出来上がるわけです。

人は誰でも、起きてから14~16時間ぐらい経過すると、自然に休息モードに入り、眠くなるものです。ただ、この時に外界の刺激などで交感神経が活発になりすぎると、眠気を感じなくなることもあるようです。

人が眠りに付くこの2つの仕組みをしっかり考えて、より良い睡眠を取れるようにしたいですね。

睡眠中の脳と身体の状態

私達の身体の疲労は少しの時間休むだけでも回復しますが、脳の疲労については睡眠をとってはじめて回復すると言われています。

また、眠っている間に回復される脳の機能には、神経伝達物質であるカテコールアミン系が働いていると言われています。

脳内でカテコールアミン系が分泌されることで、動機やエネルギーの増加、楽天性、物事をやり遂げようとする課題指向性などが生まれてきます。

カテコールアミンは脳幹から大脳皮質まで広く神経繊維を送っており、学習、覚醒、情動などに関係していると言われています。

知的、あるいは情動的に疲労した日であれば、カテコールアミン系が特に大脳皮質で消耗し、夜間の睡眠中に回復するそうです。

私達が感じる疲労には、2種類あります。1つは身体活動がもととなる疲労です。運動をしたり、体を動かして働いた後は身体が疲れるものです。

頭痛はなく、気分的に不快になることもなく、精神的にはほとんど変化がない状態なので、肉体疲労、あるいは単純疲労とも言われています。

もう1つの疲労は、精神的疲労です。これは顔や頭の筋肉の緊張を伴い、やる気がなく、不快な気分になったり、怒りっぽくなります。精神機能は変化しており、持続した注意深い思考や集中困難に陥ることがあります。

精神的にとても疲れたときには、大人でもより原始的な願望を求めるようになります。そして散漫になる、わがままになる、集中して考えられない、疲れているのに眠れないなどの症状も出るようになります。

また、睡眠中には様々なホルモンの分泌を調整することが明らかになっているそうです。睡眠中に分泌されるホルモンには、成長ホルモン、乳汁分泌ホルモン、性ホルモン、メラトニンがあります。

成長ホルモンは子供の成長にとって必要なだけでなく、タンパク質の修復という役割も担っています。このため、睡眠不足の翌日はカミソリ負けをしたり、化粧ののりが悪くなるなどの肌トラブルも発生しやすくなるものです。

そしてメラトニンは、睡眠そのものよりも生体時計による概日リズムに支配されて分泌されると考えられています。メラトニンには、睡眠促進作用や体温低下作用など、より眠りにつきやすくする働きがあると言われています。

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夢を見るのはどんな状態の時か

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠がありますが、夢を見るときは80%がレム睡眠の時だと言われています。(ちなみにノンレム睡眠の時は7%です。)

つまり、体は深い眠りについている一方で、脳が覚醒に近い浅い眠りの状態の時に夢を見やすいです。

夢は感覚性心像をもつ体験ですが、視覚性心像も96~100%認められるそうです。続いて聴覚性、運動性覚せいの心像になります。

レム睡眠の夢では視覚的な要素が強く、内容は不合理であり、複雑かつ奇異的な状態が多いようです。

なぜノンレム睡眠ではなくレム睡眠の時に夢を見やすいのかということには、以下のような利用があるそうです。

・視覚性や聴覚性入力が極端に減少している

・覚醒時の現実世界から、時間的に隔離されている

・坑重力筋の緊張低下によって、感覚遮断に近い状態にあるため

大脳皮質や大脳辺縁系は覚醒時に近い状態にあり、このような状態においては、何らかの刺激によって想起された過去の記憶が覚醒時のように明確化され、映像化、具体化し、夢特有の体験が出てくると考えられています。この時は論理的な思考が影を潜めています。

また、寝言は睡眠覚醒移行障害による異常行動にあたるそうです。寝言の発生は本人は全く気付いておらず、当然のことながらその内容も理解していません。

寝言は短い場合がほとんどで、日常の出来事に関わることであるケースが多いです。怒りや恐怖、命令、喧嘩じみた表現が多いですが、一過性のケースがほとんどで、1日~数日でなくなります。