睡眠障害や不眠症を診断する時の検査の1つに、睡眠ポリグラフ検査というものがあります。

この検査の目的は、眠りの質を調べることです。睡眠時の心拍や呼吸、眼球運動、脳派などを記録することで、以下のようなことが解かってきます。

眠りに付くまでにかかる時間

深い睡眠が出現する量

途中で覚醒する回数

レム睡眠のリズム

全睡眠時間

さらに、睡眠中の呼吸状態や下肢の動き、血中の酸素の飽和度なども記録し、診ることが可能です。

睡眠時における様々な状態や数値を見ることができるので、睡眠障害の診断や判定にかなり役立つわけです。

この睡眠ポリグラフ検査は、室温や照明をきちんと調整できる検査室や病棟で行われるのが一般的です。また、携帯型の装置を使用することで、自宅で行うことも可能です。

検査時には頭や耳、胸部などに電極を装着します。この電極は医療用テープで固定されるので、睡眠中にずれる可能性は少ないです。痛みもありません。

しかしながら、検査室や病棟に泊まるだけでなく複数の電極が装着され、検査という心理的なストレスも生まれてしまいます。このため初回の睡眠ポリグラフ検査では、正確なデータを得ることが難しいと言われています。

このような初日の検査はファーストナイトエフェクトと呼ばれており、これを除外するためにも睡眠ポリグラフ検査は2晩以上行われるのが一般的です。

1度検査することである程度の慣れが出てくるので、2晩目はより正確なデータが出やすくなります。

アプノモニター検査の概要

アプノモニター検査は、睡眠時無呼吸症候群の診断に行う検査です。

睡眠時無呼吸症候群は、無呼吸が1時間に5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸があるものを、睡眠時無呼吸症候群と言います。(無呼吸とは、10秒以上呼吸が止まってしまうことを言います。)

この睡眠時無呼吸症候群を放置しておくと、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気が発症しやすいくなるので注意が必要です。

アプノモニターは、自宅で寝る前に自分で装着します。装着の仕方や検査中の注意点は、病院で説明されます。検査の特別な準備はなく、食事も入浴も普段どおりでOKです。

ただ、深酒で睡眠中の無呼吸がおこる場合があるので、検査前の飲酒は控えるようにします。また、夜間の睡眠を妨げないように、就寝前の飲水は少なめにします。さらに、爪のマニキュアは落とします。

寝る準備ができたら、3個のセンターをつけます。まず、鼻での吸気をチェックする薄いプラスチックでできているセンサーの先端を、鼻孔にしっかりとテープで固定します。このセンターは蝶のような形で、口の呼吸の流れ(吸気)も感知します。

次に、頸部甲状軟骨(喉ぼとけ)の下に、いびきや気道を空気が通る音を拾うための喉のセンサーをテープで止めます。

3個目は、人差し指に血液中の酸素飽和度を測定するためのセンサーをつけ、ずれないように指カバーで被います。

3個のセンサーは、弁当箱程度の大きさの記録器具に接続し、睡眠中の酸素濃度、吸気の流れ、喉の音を記録します。

夜中にトレイにおきた場合でも、モニターを外さすにトイレに行くようにします。翌日、起きるときに装置を外して終了になります。

記録されたデータからは無呼吸の回数が解析され、診断します。その結果、睡眠時無呼吸症候群が疑われたら、終夜睡眠時呼吸モニター(ポリソムノグラフィ)によって無呼吸の型や重症度の判定などを行います。

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睡眠時無呼吸症候群の問題

呼吸関連の睡眠障害の中で最も多いのは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。これは上気道の閉塞のために眠っている間に無呼吸を繰り返すもので、定義として、呼吸が止まる、または浅くなる状態が1回に10秒以上続くものを無呼吸といい、それが1時間に5回以上起こる状態を、睡眠関連呼吸障害と言います。

呼吸が止まると息苦しくなって酸素欠乏状態になり、一晩に何度も睡眠が妨げられます。本人は呼吸が止まったことも目が覚めたこともあまり自覚がありません。しかし、熟睡できていないため、昼間の強い眠気や倦怠感に襲われますし、集中力も低下します。

このため作業能率は下がり、居眠りのために運転や機器の操作を誤ってしまい、大事故を引き起こすリスクも高くなります。重度になると、1時間に30回以上の無呼吸を繰り返し、その度に酸素欠乏症を起こして睡眠が中断されてしまいます。

また、睡眠時の呼吸障害は循環器にも大きな負担をかけており、心血管障害の危険因子だという研究報告もあるそうです。

ちゃんと睡眠時間を取っているのに日中強い眠気に襲われるという人は、睡眠時無呼吸症候群を疑い、専門医を受診するようにしましょう。

大きいイビキの後にパタリと呼吸が止まって、その間はイビキも止まり、呼吸が再開すると同時にイビキが再開するというパターンを繰り返す「エンスト型のイビキ」をかく人は、無呼吸の可能性が高いようです。中年男性に多い睡眠障害ですが、閉経後の女性も発症しやすい傾向があります。

医療機関で睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、CPAP療法が治療方法として採用されることがあります。CPAPは、鼻マスクから強制的に空気を送り込む装置で、閉塞した気道に機械的に空気を送り込むので、無呼吸は激減していきます。現在では装置も小型化し、家庭でも利用できるようになりました。