虫歯は私達の歯をゆっくりと蝕んでいくものです。歯の表面はエナメル質という硬い組織で覆われており、これが歯をしっかりと守ってくれます。そして、そのエナメル質は、唾液が常に覆っている状態です。

しかし、虫歯の原因菌であるミュータンス菌がたくさん口の中にいると、歯のエナメル質にまでひっついてしまいます。さらに、食品の中に含まれている砂糖を餌にして、乳酸や酢酸を生み出します。この酸によって歯が侵されてしまい、虫歯になるわけです。

ミュータンス菌は砂糖と結びつくと、グルコシルトランスフェラーゼという酵素を分泌します。そしてこれによって、グルカンという粘着力の強い物質まで生み出してしまうわけです。

このグルカンが歯にべったりと張り付いてしまうと、様々な菌がそこに付いてしまいます。これはやがて、歯垢という最近の塊になります。

歯垢は最初の頃であれば歯ブラシで取れます。しかし、これを放って置くと少しずつ厚くなっていき、固い膜を作ってしまいます。

この膜は「バイオフィルム」と呼ばれるもので、歯がバイオフィルムに覆われてしまうと、ミュータンス菌が次々と酸を出して虫歯になってしまいます。

歯ブラシや歯磨き粉などのCMで「食べたらしっかり歯を磨こう!」というキャッチフレーズを見かけますが、これは歯垢やバイオフィルムを作らないで、虫歯を予防することを呼びかけているのですね。

虫歯の治療後でも、歯を失う危険性がある

人は誰でも、自分の歯をいつまでも長く持ち続けたいと思うものです。70歳代、80歳代になっても自分の歯で美味しく食事ができるということは、とても幸せなことですよね。

自分の歯を健康的に保つためには、虫歯が出来たら治療しなければなりません。一番は虫歯を作らないことですが、虫歯を放っておけば悪化してしまいます。このため、治療は不可欠なものとなります。

しかしながら、虫歯の治療と言えば、虫歯になった部分を削って、詰め物を入れるのが基本的な治療になっています。

歯の硬い組織部分は一度削られてしまうと、元に戻りません。さらに、虫歯になりやすい状態になるので、その後はさらに虫歯に注意する必要があります。

また、歯の神経は基本的に歯の中心部分にあり、ここには血管や神経が通っています。神経は「歯髄」と呼ばれるもので、この歯髄を取り除いてしまうと、歯の根元部分の先に菌が入りやすくなり、炎症を起こしやすくなります。

歯を抜いてブリッジにした場合は、土台となった歯に大きな負担がかかりますし、土台になった歯は虫歯や歯周病になりやすくなります。

人工の歯をかぶせる治療においては、完全に隙間なくかぶせることが困難です。人工の歯とかぶせた歯の間に菌が入ってしまい、虫歯や歯周病を発症しやすくしてしまいます。

このように、虫歯の治療する場合でも、歯に大きなダメージを与えてしまうことが多々あります。

いかに虫歯を作らないようにしていくか、つまり虫歯治療が必要ない状態を長くキープできるかが、自分の歯を長持ちさせる最大のポイントとなります。

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もう一度考え直したい「歯」の重要性

私達は「歯」があるからこそ、毎日美味しいものを食べることができます。

しかし、虫歯等で歯が痛くなったりすると、思うように食事を摂ることができません。これは大きなストレスです。このような事態に直面すると、歯がいかに大切なものであるかを考えさせられますね。

虫歯で歯を抜いてしまえば、食べ物を噛むことができません。このため、ドロドロの液状のものだけしか摂取できなくなります。噛む動作が無くなることによって免疫力も弱まり、病気にかかりやすくなります。さらに、脳の働きも悪くなってしまいます。

また、歯が無くなると、言葉を発することも大変になります。

昔、歯は「栄養器」と呼ばれていたそうです。その理由は、食べ物を体に入れる時に最初の大きな役割を果たすのが「歯」であるからです。歯によって食べ物が細かく砕かれ、消化されやすくなり、体内に栄養が取り込まれやすくなります。

人間が生きていくためには、各種栄養素の摂取が欠かせません。そのためには最初の第一段階として「歯」が必要不可欠であり、とても重要な役割があると考えられてきました。

大切なことは、自分の歯の大切さをもう一度認識しなおし、自分の歯を守るための適切なケアを継続することだと思います。正しいケアを日常化してしまえば、虫歯や歯周病などの歯の病気になるリスクも減ります。

健康で末が無く生きるためには、歯が実に大切な役割を果たしているのですね。