コンタクトレンズはルールを守って正しく使用している分には、失明することはありません。
しかしながら、使用において重大なルール違反をしたり、知らず知らずのうちに間違えた使い方をしてしまうと、視力低下や失明につながることもあります。
トラブル事例で多いのが、角膜混濁です。これは角膜内皮という角膜の内側の細胞が酸素不足で死んでしまい、角膜が真っ白く濁ってしまう症状です。
角膜は角膜上皮、角膜実質、角膜内皮の3層から成り立っており、一番内側にある角膜内皮は、角膜内から水分を外へ送り出すポンプのような役割を果たしています。
角膜は表面が涙、内側が房水という液体に常に接しているのですが、角膜内に水分の水分が多くなってしまうと、透明性が無くなって角膜が白く濁ってしまいます。この状態では、コンタクトレンズやメガネを使用しても、視力が出なくなります。
角膜内皮は一度死んでしまうと再生されることがないので、常に健康な状態に保つ必要があります。
もう1つの注意すべき点は、角膜の感染症です。
コンタクトレンズを不潔に扱うことによって、角膜が感染症を引き起こすケースがあります。感染症の中でも特に重症だと言われているのが、アカントアメーバ角膜炎です。
これは水道水中にいるアカントアメーバという原生動物の感染が原因で、角膜が白く濁ってしまう病気です。水道水は塩素消毒がなされていますが、アカントアメーバは水道水程度の塩素濃度では死滅してくれません。水道水中にも生存できてしまいます。
アカントアメーバ感染症は1985年~1987年にアメリカで数多く発症したもので、レンズ保存のために水道水が使われていたことが原因とされています。
アカントアメーバを死滅させた場合でも、角膜の混濁が残ります。その結果として角膜移植が必要となるケースも少なくありません。
コンタクトレンズを水道水で洗うのは厳禁であるのはもちろんのこと、コンタクトレンズを使用している人が水道水で水を洗うのは危険なことです。十分に注意していきましょう。
コンタクトレンズで目が充血する理由
目の充血は、目に酸素が不足している証拠です。酸素を取り入れようとして目が充血し、炎症と戦うためにたくさんお血液が送られてきて、結果として充血が悪化してしまいます。
ハードレンズ使用者に見られる炎症の原因は、角膜と結膜に生じた傷であるケースがあります。この場合はコンタクトレンズを一度外し、一晩ゆっくり休ませると充血は無くなってしまうのが普通です。
ハードレンズを使用することによってこのような充血が起きることには、以下の3つの理由が考えられます。
1.真横方向のドライアップ
ハードレンズは瞬きする度に上へ持ち上げられ、下にストンと落ちます。これによりレンズ下の涙が交換されるのですが、ハードレンズは黒目よりも小さく、涙が表面張力によって吸い上げされ、ドライアップしてしまいます。
目の表面は涙でコーティングされているのですが、ドライアップした部分には細かい傷が出来てしまいます。
2.レンズのカーブが合っていない
ハードレンズを選ぶ時は、近視や遠視の度数だけでなく、角膜曲率も計測する必要があります。これが合っていないと、瞬きの度に角膜を傷つけてしまうことになります。
3.涙が正しく運ばれない
私達の目の表面は、常に涙で覆われています。涙腺で作られた涙は、上瞼の裏側に溜まっています。瞬きをすると瞼の圧力によって押し出され、眼の表面を潤す仕組みになっています。
しかしながら、ハードレンズはレンズに厚みがあるので、瞼による圧力が伝わりにくくなり、涙が出にくくなります。これによって、涙が正しく運ばれない状況が続いてしまいます。
充血が続くことは、目に良くない状態が続いている証拠です。点眼薬で一時的には解決されても、根本的に解決できなければ意味がありません。このため、もし充血に気付いた場合は、信頼できる眼科医に一度相談することが必要だと思います。
目にとって悪いカラーコンタクトレンズ
カラーコンタクトレンズは、若者のお洒落の一環として、一部で定着しつつあります。しかし、コンタクトレンズはファッションアイテムではなく、医療器具の1つです。
使い方を間違えてしまえば目に大きな障害を与えてしまいますし、実際にカラーコンタクトレンズを用いたことによる被害は、たくさん出ているのが現状です。
まず、コンタクトレンズには適正な装着時間があります。この時間を超えても装着し続けるのは良くありません。また、コンタクトレンズは毎日のお手入れが大切であり、これを怠ると目のトラブルの原因になります。
カラーコンタクトレンズをつけたまま飲みに出かけて、過度に酔っ払ってそのまま寝てしまうことがあっては、大問題ですね。
度入りのカラーコンタクトレンズを視力矯正のために使用するケースもあるかもしれませんが、カラーコンタクトレンズは目の見え具合よりも、目の色を変えることに重点を置いています。このため、通常のコンタクトレンズよりも見え方が悪くなる傾向があります。
さらに、レンズに色をプリントしてあるので、酸素の透過性が悪く、目に大きな負担を与えてしまいます。
また、気軽に使えるので、デパートや公共施設のトイレなどで付け外しをする人もいます。多くの人たちが出入りする場所には、細菌類を数多く存在しています。もし角膜に傷などあれば、そこから細菌が感染してしまい、最悪の場合は角膜移植を強いられることもあります。
そして最も問題なのが、製造元のわからない安価なカラーコンタクトレンズです。質が悪いものは、使い方のルールを守っていても目に大きな負担を与えている恐れがあります。
カラーコンタクトレンズは使わないのがベストですが、もしどうしても使いたい場合は、信頼できるメーカーのものを使用することと、通常のコンタクトレンズよりも衛生面やルール面において厳しく基準を設けて使うことが大切です。